熱中症は節電・電力不足のせいではない

夏の電力に余裕がある理由の一つはやっぱり太陽光発電にありそうな件 - アナログとデジタルの狭間で
前回の記事に対して、ハテブ上で「熱中症ガー」*1という、「電力が足りている」という記事にわいてくる典型的な難癖が出てきている。

熱中症に関しては、以前にも『原発止めたら弱者が死ぬ』の嘘 - アナログとデジタルの狭間でで書いたが、

東京新聞の2011年6月30日の総合欄の記事より

「救急医学会の調査では、熱中症で重症化した高齢者のうち、5割はエアコンがなく、4割はエアコンを使っていなかった。エアコン使っていたのに重症になった人は1割にすぎない」

実際には電力不足以前の問題で、震災以前からエアコンが無い人やエアコンを使う習慣が無い人が室内で熱中症になっている場合が多い*2
最近のニュースでも「エアコン嫌いでエアコンを使わなかった結果、熱中症で死亡した」ということや、「エアコン自体を持っていない人が熱中症で死亡した」といったことが報道されている。
「エアコン嫌い…」高齢3姉妹そろって死亡、熱中症か - 産経ニュース

姉妹が倒れているのを訪ねてきた知人女性が発見。すでに死亡していたといい、警視庁板橋署は熱中症の疑いがあるとみている。
親族に同署が事情を聴いたところ、姉妹は普段から「エアコンが嫌い」と話していたといい、使用した形跡はなかった。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015081402000127.html

 東京都内で独り暮らしの高齢の男女二人が熱中症の疑いで死亡し、誰にも気付かれないまま二〜三週間ほど過ぎてから発見されていたことが、警視庁と東京都監察医務院への取材で分かった。二人とも室内にエアコンがなかった。

以上から、熱中症対策に必要なのは、熱中症予防方法の適切な啓蒙と、望むならだれでもエアコン・扇風機*3が使えるような福祉・再分配である。
電力不足・節電のせいで熱中症が発生しているというのは短絡的な妄想に過ぎない。そのような妄想を主張しても、熱中症は減らず誰も幸せにはしない。

そもそも、太陽光発電のおかげもあって電力不足が遠のいているという記事に対して、「熱中症ガー」という人達には数字を見せても、電力不足で熱中症という短絡的な感覚を変えないかも知れないが…

なお、熱中症に関する統計情報はこちらが詳しい。
熱中症対策に関する検討会で紹介された熱中症対策について|厚生労働省

*1:id:sisya「節電ムードが定着してしまったせいで熱中症が常態化していること」id:tennteke「仮に電気が足りてるんだとしても、熱中症で倒れる人が多いんじゃ本末転倒。なんのためのエネルギー開発だと思ってるんだか。」

*2:id:You-me は震災後の家庭での熱中症発症事例の多さを見て節電のせいだと思ったみたいだが、これで回答になるだろうか?

*3:恐ろしいことに扇風機すら持っていない人が少なくない。家庭での熱中症発病者のうち3割が持ってなかったようだ。P38住宅内における熱中症患者の暑さ対策実施状況参照