大学進学と奨学金とリスク

裕福でないと大学にいけないという幻想 - odz buffer
まあid:odzさんの言う通り、純粋に大学生の間必要な金を工面して行けるか行けないかで言えば奨学金とアルバイトで自分の分の必要な金は大体の人が出せるだろうし、そのことは昔の記事で自分も言ってます。まあそれでも突っ込みたいところはありますが色々な人が言及しているのでその点は省かせてもらいます。で、一連のエントリーであまり言及されていませんが一番の問題と思うリスクについて言及されていないのでこの記事で書いてみようと思います。以下は主に大学院(修士)までの費用を中心に取り扱います*1
まず大学・大学院進学から卒業までに貰える(借りられる)奨学金の額はとしては日本学生支援機構のものとして第1種5万(大学)から8万(大学院)、第2種の10万(大学)から13万(大学院)があります*2。そのうち無利子の第1種に関しては狭き門であり、金額も少ないため結局貧乏であればあるほど、有利子の第2種に頼らざるをえなくなります*3。第2種をフルで取ると卒業時にその額は大学で480万円、大学・大学院(修士)で790万円、さらに入学時特別増額貸与奨学金を貰えばさらに30万円×2で大学院卒業時で最大850万円の借金を背負うことになります。
これだけの金額の借金を背負うということはそれだけで十分でかいリスクです。ですが、それ以外に大学4年で卒業できるのが6〜7割*4なのにそもそも大学4年間だけで卒業できるのか*5というリスクと、同時に無事卒業できたとして、例えば就職氷河期のような時期に無事就職できるのか、できたとして重い借金を返せるだけの給料が貰えるのかということが上げられます。このリスクに対して、卒業して仕事があるかというと、新規求人倍率(求人倍率 - Wikipedia)、大学新規の求人倍率(http://www.works-i.com/flow/survey/bairitsu2008.html)いずれのデータでもこの数年を除く90年後半から2000年代初頭までは求人倍率が1を割るか、1近くまで落ちてることが分かります。この就職氷河期の時期に卒業していたとすれば必ずしも奨学金を返せるほどの職に就職できたとはいえないと思います。さらに言えば、もし新卒採用からこぼれたとしたら、新卒市場が超売り手市場といわれている横で、こういった現実が待ち構えています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070831-00000125-san-bus_all

一方、厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(求職者1人に対する求人数、季節調整値)は前月と同じ1・07倍。年齢不問の求人の増加で、中高年層の求人倍率が上昇している。正社員の有効求人倍率は前月比0・02ポイント上昇の0・59倍だった。

大学に行くということに対して、これほどのリスクを学生にもたらすのが正しいでしょうか?

参考記事
捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ! - 米百表の精神なんてこの国には存在しないのだ
捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ! - 米百俵の精神なんてこの国には存在しないのだ2

*1:理工系だと大学院まで進学する人が非常に多いです。

*2:そもそも今の日本の奨学金と呼ばれるものは奨学金ではないというのもありますが

*3:第1種と第2種の併用はもっと難しい。

*4:理工系、半径10m調べ

*5:5年生になりますと奨学金が貰えません。