はやぶさの帰還は2010年まで延長

松浦晋也のL/D:12月14日午前の記者会見(引用は全部ここから)によると、今後のはやぶさをどうするかについては

イオンエンジン用キセノン噴射による姿勢制御の能力は十分ではなかった。外乱トルクがキセノン噴射の制御能力を超えており、姿勢が崩れていくのを止めることはできなかった。

(略)

12月9日以降、はやぶさとの交信は切れている。ただし解析の結果、復旧の可能性は60%ある。

今後運用方針を、通常運用から救出モードへの転換が必要になる。救出モード運用は1年間継続する。2007年初めまでに復旧できた場合にはその時点からイオンエンジンを運転して2010年に地球帰還させる。

ということらしい。正直自分には、はやぶさの地球帰還(正確には違うけど)はのぞみの恐るべき旅路並にやばそうな気がするけど、JAXA/ISASの中の人は何とかできると思っているみたいだ。
ある意味それより注目するべきなのは、この記者会見で現場の人からこういった話が出てきたことだ。

川口:
今回、サンプルリターンを全世界で初めて試みた。宇宙開発は過去、マスコミの監視の中、びくびくしながら、確実性の高いプロジェクトを実行してきた。しかし宇宙開発には、リスクを取っても先に進むということも必要なのではないか。

 高い塔を建ててそこへのぼってみれば新たな地平が見えるものだ。そのような塔を自ら建てるという意識を鼓舞したという点でははやぶさには意味があると考えている。

現状、NASAESAもサンプルリターンもおそらくプロポーザルを出せないだろう。少なくともはやぶさレベルまでは成功させなくてはならないから。
 だからはやぶさ2があるとすれば、これは日本にしかできないだろう。是非ともやりたい。

はやぶさについてのJAXAのネット上の広報といい、JAXA/ISASの視線の中にいままでマスコミに隠れて見えてなかった国民(なかでも宇宙開発に少なくない興味を持つ人たち)が見えてきたのではないだろうか、また、JAXAはそんな人たちにネットやマスコミを介して情報をつたえようと努力し、その伝えられた情報にネット上でいろんな人たちが反応し、その反応に対してJAXAの人もより情報を伝えようとするという良い循環が今回できていると思う。これは今後もうまくやっていけば、はやぶさの成功・失敗以上にJAXAの財産になるのではないか。そうして国民の理解といった環境が整えば、よりチャレンジングにも堅実にもミッションを進めていくことができるようになるだろうと思う。