最低賃金引上げは間違っているという言説があるけれど

民主党が2年前の参院選挙に続き、最低賃金1000円へ引上げを唱えている。
それに対して最低賃金引き上げは「経済学」的に雇用縮小を招くからダメだって言ってる人が何人かいるようだ。
最低賃金1000円は可能か - Joe's Labo
http://diamond.jp/series/yamazaki/10088/

しかし、アメリカではリーマンショックを挟みながら3年連続で毎回10%以上引き上げられていた、それで雇用に問題が起きていないという話が実証的に出てくれば日本においても最低賃金引き上げに躊躇する理由はなくなるだろう*1

米国で連邦政府が定める最低賃金の引き上げが24日付で適用され、時給7ドル25セント(約690円)と、従来の6ドル55セントから約11%上昇した。労働人口の約4%にあたる約450万人が恩恵を受けるとされる。貧困層の家計に余裕が生じることで消費押し上げ効果を見込む声がある一方、サービス業をはじめとする企業にとってコスト増は必至で、雇用縮小という副作用を招く恐れもある。
(略)
低賃金は2007年に5ドル85セント、08年に6ドル55セントに上昇しており、引き上げは3年連続。
(略)
労働省によると今回の改定で、最低賃金で生活するフルタイム労働者の月収は約120ドル増えるという。ソリス労働長官は収入の増加によって「年間で55億ドルの消費押し上げ効果がある」と述べ、景気下支えに期待感を示した。
米、最低賃金11%上げ 時給690円、消費押し上げに期待

前回の参院選挙前にも最低賃金の引き上げを民主が唱え、議論が起きた。その時最低賃金引上げについての記事*2を書いたのだけれど、その後も関連記事を追っていた限りでは、最低賃金の引き上げについては経済学的に*3雇用(経済)に対して正の効果と負の効果両方あり、どちらの効果がより強く出るかはその実施環境・実施方法、引き上げ量によるようだ。
早く、日本でも「経済学」的に最低賃金は良くないで終わらせずに、最低賃金の引上げをどうすれば正の効果がでるようになるのか、実証・理論含めて議論できるようになって欲しいところだ。


追記1
http://d.hatena.ne.jp/sakuranta/20090713
こちらではid:sakurantaさんにより最低賃金引上げが経済学的に間違っているというのは本当か? - アナログとデジタルの狭間でで紹介したデイヴィッド・カード教授の研究の続きが紹介されている。その研究結果では引き続き、最低賃金の引き上げと雇用の悪化は=ではないようだ。
追記2
最低賃金引き上げは失業率を上昇させるか? - himaginary’s diary
書くのに時間かけていたら、書きたいことがほとんど先に書かれていた。ここからまともな議論につながることに期待。

*1:アメリカで最低賃金引き上げ後の研究結果があれば見てみたい。

*2:最低賃金引上げが経済学的に間違っているというのは本当か? - アナログとデジタルの狭間で参照

*3:モデル的や実証的な意味において