半年で原発一基分の再生可能エネルギーが導入できそうな件

7月にFITが導入されて、2か月分の認定状況が報道されている。

自然エネルギー:再生可能エネルギーの導入ペースが加速、2か月で年度目標の半分を突破 - スマートジャパン
経済産業省が発表した7月と8月の集計結果によると、この2か月間に固定価格買取制度の対象として認定された発電設備の規模は130万kWに達し、2013年末の目標値250万kWの半分を超えた。
(略)
今後も同様のペースで再生可能エネルギーによる発電設備が増えていくと、2013年3月末には600万kW程度の規模まで拡大する。

再生エネ導入実績、目標の5割超す 想定より早く :日本経済新聞
発電設備の容量でみた8月末の実績によると、メガソーラーなど住宅以外で使う太陽光が73万キロワットと最も多かった。住宅向けの太陽光の31万キロワット、風力の26万キロワットが続いた。設置に時間がかかるものもあり、すべてですぐに発電できるわけではないという。
 住宅で使う太陽光を対象にした旧制度に基づく分も含め、4〜8月に運転を始めた再生エネの設備容量は68万キロワットになったとの実績も公表した。住宅に設けた太陽光が60万キロワットと大半を占めた。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120927/mca1209270502007-n1.htm
一方、今年4〜8月末までに運転を開始した再生エネ設備は計68.3万キロワットで、今年度の導入目標の3割弱にとどまるが、「今年度後半にかけて複数のメガソーラーが運転を開始する予定なので、非住宅太陽光の伸びが大きくなる」(経産省)としている。

こういった数字は以前から原発何基分と言い換えることが多く、今回も原発一基分という表現を使っているところがある。
http://www.asahi.com/politics/update/0926/TKY201209260284.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012092602000222.html
それに対してkWとkWhの違いを分かっていないといちゃもんをつける人たちがtwitterなどに多くいるようだ。例えば

では実際今回認定されたという大型原発一基分の再生可能エネルギーという数字は電力量で換算して原発と比較するとどれくらいになるのだろうか。
原発一基100万kW、稼働率60%だとすると、年間の発電量約5.3TWh*1になる。
それに対して、http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.htmlの8月末のデータを使って試算する*2と2ヶ月間で認定された再生可能エネルギーの年間発電量は約1.6TWhとなり、これだけでも原発の3分の一基分ないしは中型火力一基分相当の電力量となる。
これが今のペースでそのまま延びて行けば2012年末までに発電量換算でも原発一基分の再生可能エネルギーが導入されることになる*3
半年で一基、1年で二基分を再生可能エネルギー原発を代替できるのならば2030年までには現在の原発30%分を再生可能エネルギーが代替するのは、量的な問題がないことが分かるだろう。もはや再生可能エネルギーの普及を阻むものがあるとしたら、金銭的理由だけになるのではないだろうか。
金銭部分についての解析は次回の記事としたい。


ちなみに言うとドイツの太陽光発電は日中原発10基分以上を発電 - アナログとデジタルの狭間でで紹介しているドイツの記事でも原発何基分という表現があるので、大型原発一基分という表現は世界的にもよくある表現のようだ。

*1:5億3000万kWhね

*2:稼働率を太陽光12%、風力22%、水力70%、バイオマス80%として計算、ちゃんと調べてないので不正確かも。

*3:1.6TWh*3=4.8TWh≒5.3TWhでほぼ原発一基分相当となる