日本においても太陽光発電がグリッドパリティを達成した模様

調達価格等算定員会の検討の結果、2014年度の日本の太陽光発電の固定価格買取価格は住宅用が10年間・37円/kWh、非住宅用が20年間・32円/kWhとなった。
この価格自体は事業者の利益を含む為、発電原価ではない。しかし発電原価がいくらになったのかについては、残念ながら報道が特にないので、調達価格等算定委員会で提示された数値を元に試算をしてみた。試算には前回の記事同様、コスト検証委員会の発電コスト試算シートを使用している。
その試算の結果、日本においても太陽光発電の発電原価が25円/kWhと、家庭用電力料金と同等の金額となることがわかった。より具体的には調達価格等算定委員会の資料から建設費、運転維持費を取り出して、発電コスト試算シートを使って試算をしている。その結果、10kW以下の新築の場合で家庭用力並みの25円/kWh。既設の場合は27.7円/kWhとなった。東京電力の場合、電気料金は第2段階までで1kWh当たり25円19銭、第3段階で29円10銭となっており、既設でも新築でも、第一段階のグリッドパリティが達成されていると言っていいだろう。
なお、10kW以上の非住宅用太陽光発電(メガソーラー)については、試算した結果は23.5円/kWhとなっている。

今回の試算結果とコスト等検証委員会の2010年、2030年の太陽光発電のコストを表にまとめてみる。

  2010 2013 2030
住宅用 33.4〜38.3 25.0〜27.7 9.9〜20.0
メガソーラー 30.1〜45.8 23.5 12.1〜26.4

住宅用にしろメガソーラーにしろ、発電原価がわずか3年余りで3割ほどと大幅に下がっているのが良くわかるだろう。このままの現状の年間1割程度のペースで下がっていけば、日本で太陽光発電が高いと言えるのは精々あと数年程度となるだろう。
具体的な数字で比較すると、現状においても石油火力(24円/kWh)とさほど変わらない。今後の発電原価下落ペースしだいだが、このペースのまま推移するなら遅くとも2020年前後には業務用電力価格(16円/kWh)やガス火力(13円/kWh)に対しても価格競争力をつけてくるのではないだろうか。2013年時点で火力の発電原価と同等のものが出てきているアメリカやドイツほどではないにしろ、日本においても火力の発電原価と太陽光発電の発電原価が変わらなくなるところが見えるところまで来ている。

参考
http://www.meti.go.jp/press/2013/03/20140325002/20140325002.html
国家戦略室 - 政策 - 発電コスト試算シート
特に注釈のないものの発電原価はこちらから取っている。
調達価格等算定委員会資料:最近の太陽光発電市場の動向及び前回のご指摘事項について

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